カイゴな話し

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認知症ケア〰︎新人さんへのアドバイス

今回のプロジェクトについて
【目的】
新人職員を教育するにあたり、教育方針が各フロアや各職員で異ならないようにす
るため、職員間で共有する指導マニュアルを作成すること。


【言葉の理解と理念の共有】
〇職員間で共通認識をつくるために必要なことは2つあります。


1. 言葉の理解
認知症・パーソンセンタードケア・アセスメント・生活歴・・・
これらに付随する用語そのものの理解が必要です。
まず、これがないと新人さんに説明のしようがありません。
もちろん、新人さんにも言葉の意味を理解してもらう必要があります。


2. 法人として・プロの介護職としての理念の共有
進むべき目標 (どのような介護を目指しているのか=理念)を明確にすることで、
みんなが向く方向性が決まります。


■法人理の基本理念の理解


■プロ介護職として理念
職員各々は、その人らしさを尊重し、質の高い介護を目指します。


ex)根拠ある介護を行う・・常になぜ?を考えながら介護します。

 


認知症ケア概要】


パーソンセンタードケアの理念を理解しよう:パーソンセンタードケアは、認知症
もつ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとす
認知症ケアの一つの考え方です。
アセスメントでわかった情報をもとに、お客様のペースや好みに合わせたケアを提
供しましょう。


認知症を理解しよう:認知症は、脳の機能が徐々に低下し、記憶、思考、判断力、言
語能力などが影響を受ける病気です。
これにより、日常の生活において問題が生じ、人間関係や日常動作に支障をきたすこ
とがあります。


アセスメントの重要性:認知症のお客様と接する前にアセスメントをしっかり行おう。
アセスメントとはお客様が直面している課題を把握・分析し、どのようなサービスが
必要なのか、何を望まれているのかを明確にすることです。
お客様の状態やニーズを理解することが、適切なケアの出発点です。
例えば、どんなことができるのか、どんなことがしたいのか、好きなことは何かを知
ることも大切です。


生活歴を尊重しよう:アセスメントで、お客様の生活歴を知ることも大切です。
お客様が過去に好きだったことや慣れ親しんだ環境を取り入れることで、安心感を
提供できます。


コミュニケーションについて学ぼう:言語コミュニケーションだけでなく
非言語コミュニケーション(表情・顔色・身振り/指差し/うなずき/あいづち・視
線・身体の姿勢・相手との距離感・コミュニケーション時の雰囲気/声のトーン/音
量/スピード)なども意識してみましょう。


環境の整備:お客様のいる環境は安心感に大きな影響を与えます。アセスメントで得
た情報をもとに、環境を整えましょう。
例えば、落ち着いた雰囲気や視覚的な刺激を減らすことで、お客様がリラックスしや
すくなります。


根拠ある介護を心がけよう:常に「なぜ?」を意識し、 どうしてそのような介助にな
るのか?を考えるようにしましょう。


情報共有と多職種連携:医師や看護師、ケアマネジャー、リハビリなど、様々な職種
と情報共有し、それぞれの専門性をいかすことで、より質の高い介護を提供すること
ができます。結果、お客様の生活の質を向上させることに繋がります。

 


以上これらのポイントを覚えて、アセスメントの結果をもとにしながら、パーソンセ
ンタードケアを心がけ、 生活歴を尊重して環境を整えたりしながら、 お客様に合った
温かいケアを提供しよう。



【介護の具体的なアプローチ】
①アセスメント
温度板を確認して既往歴、生活歴を確認しよう。
実際にお客様と向き合い、よく観察し、訴えに耳を傾けよう。


お客様の行動を観察、訴えを傾聴
「なぜ?」を考察する

 


②計画
お客様の生活の質(QOL)を高めるために、その方の立場に立ってどのような介護
が必要か考えよう。


「どうする?」
どのような対応が必要か考える


③実践
実際に考えた介護を実行してみよう。


「やってみよう!」
考えた対応を実行しよう

 


④評価
かかわったお客様の様子を多職種含めて情報共有し、どのように変化していったか
確認しよう。


「どうなった?」
結果をケースに記入したりして多職種とも情報共有しよう


(①~④の過程を繰り返す)


※新人さんへのアドバイスは、上記の考え方をサポートしてあげることが重要
特に「なぜ?」 「どうする?」の部分を一緒に考え導いてあげる

 


【事例について実際に考えてみよう】


〈訴え〉おしっこの訴えが頻回

〈なんで?〉
a アルツハイマーから脳気質の問題で尿意を感じる部分が敏感になりすぎているの
では?
b 薬の影響は?
c 以前に汚染した経験があり、周囲に迷惑をかけたくないという思いから?
d トイレを訴えてもなかなか連れていってもらえなかった経験があったのではない
か?

〈どうする?〉 〈やってみよう〉
a Dr.Ns と連携し薬処方 a 内服してみた
b Dr.Ns と連携し薬減量 b 薬調整された
c 訴える前に時間でトイレ誘導してみよう c 食後すぐにトイレ誘導してみた
d 最優先でトイレ誘導してみよう d 訴えあればすぐにトイレ誘導した

〈どうなった〉
a 訴えの回数が減った
b 変化なかった
c 断られてトイレ誘導できなかった
d 訴えの回数が減った


〈訴え〉お茶の訴えが頻回

〈なんで?〉
a 糖尿病等の病気は?
bすることがなく、目の前にある茶碗にばかりに気が向いてしまうのでは?
c なじまない環境で緊張しているのでは?

〈どうする?〉 〈やってみよう〉
a Dr.Ns と連携し対応 a 病院受診した
b 気をそらせるものを提供しよう b 塗り絵をやってみよう
c 落ち着く環境を整えてあげる c 窓際の花壇が見える一人席で過ごしてもらった

〈どうなった〉
a 現状維持
b10 分程度は集中して取り組めた
c「お茶」の訴え回数は変化ないが、口調や表情が少し穏やかになった


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〈訴え〉死にたい

〈なんで?〉
a うつ病的なものでは?
bやりたいことができずに無気力になっているのでは?

〈どうする?〉 〈やってみよう〉
a Dr.Ns と連携し対応 a お薬処方され内服する
b 以前日課だった散歩してみよう b昼食後に棟内を散歩してみた

〈どうなった〉
a「死にたい」はなくなったが傾眠がちになった
b 訴えはなくなった

 


【参考資料】
『パーソンセンタードケア』
認知症
認知症ケアの基本とは?
やる気を尊重して相手のペースに合わせて見守る ...
相手が理解しやすい言葉で簡潔に話す ...
失敗や間違った言動を責めない ...
スキンシップを頻繁にとって孤独にさせない ...
急な環境の変化は避ける